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天然ゴム製品でどんな反応が引き起こされるの?

天然ゴムを含む製品によって、3つのタイプの反応が起こり得る(表6-1)。

[要旨]要旨
1.ラテックスアレルギー(latex allergy)
2.刺激性接触皮膚炎(irritant contact dermatitis)
3.アレルギー性接触皮膚炎(allergic contact dermatitis)

1.ラテックスアレルギー(latex allergy)

ラテックスアレルギー(即時型過敏症)は、刺激性接触皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎よりも深刻な天然ゴム製品に対する反応である。天然ゴムに含まれるタンパク質がアレルゲンとなって、感作(症状の有無にかかわらず、血液検査または皮膚テストが陽性)を成立させる。すでに感作されてしまった一部の患者には、天然ゴム製品に対する非常に低いレベルの曝露でもアレルギー反応が誘発される。

即時型のアレルギー反応は、通常、天然ゴム製品に曝露してから数分以内にはじまり、さまざまな症状を呈する。比較的穏やかな反応は、皮膚の瘙痒感や紅斑、蕁麻疹などである(図6-1)。より重篤な症例では、鼻水やくしゃみ、眼の刺激、喉の痒み、そして喘息様症状(息苦しさ、咳、喘鳴など)といった呼吸器系の反応を伴うことがある。

表6 - 1 天然ゴム製品によって引き起こされる反応
表6 - 1 天然ゴム製品によって引き起こされる反応
図6 - 1 ラテックスアレルギー(天然ゴム製ラテックス手袋による即時型アレルギー、接触蕁麻疹)

生死に関わるような反応は、ラテックスアレルギーの最初の徴候としては稀であるが、アナフィラキシーショックにも進展し、呼吸困難、意識障害、血圧低下が起こることがある。麻酔中、手術中にショックを起こして迅速な対応が必要となった例も報告されている。

ラテックスアレルギーの症状は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の投与により、ある程度は軽減化させることが可能である。しかし、呼吸器症状や血圧低下などの重篤なアナフィラキシーショック反応に対しては、他の即時型アレルギーの場合と同様に、アドレナリンの投与も含めた初期対応が最も効果的である。

ラテックスアレルギーに罹患した患者の脱感作については、現在のところ詳しくは知られていない。ラテックスアレルゲンに対する免疫応答の詳細はいまだに不明であるが、感作は永続的であると考えられている。

2.刺激性接触皮膚炎(irritant contact dermatitis)

天然ゴム製品、特に天然ゴム製ラテックス手袋によって最も頻繁に起こる反応が、刺激性接触皮膚炎である。通常、手の乾き、痒み、ヒリヒリ感などとして現れる(図6-2)。この反応は、使用した手袋による皮膚への刺激や化学物質への曝露により引き起こされる。また、この反応は、繰り返し手を洗うこと、不完全な手の乾燥、洗剤や防腐剤の使用、手袋に塗布されたパウダーへの曝露によっても起こり得る。刺激性接触皮膚炎は、アレルギー反応ではない。

図6 - 2 刺激性接触皮膚炎
図6 - 3 アレルギー性接触皮膚炎

3.アレルギー性接触皮膚炎(allergic contact dermatitis)

アレルギー性接触皮膚炎(遅延型過敏症)は、天然ゴムの採取時や天然ゴム製品の製造過程で添加された、低分子量の化学物質に曝露することによりもたらされる。こうした化学物質は、漆(うるし)や金属などによる皮膚反応に似た湿疹反応を引き起こす(図6-3)。症状は通常、接触後数時間~48時間後にはじまる。天然ゴム製品に直接接触した部位からさらに広がったり、浸潤性紅斑や水疱などに進展したりすることもある。

アレルギー性接触皮膚炎の診断にはパッチテストを実施する(第7章参照)。皮膚症状を誘発したゴム手袋などのゴム製品、正式に認可された試薬を2日間閉塞形式で健常な皮膚(上背部や上腕外側)に貼布し、数日間にわたって反応を観察する。陽性反応は、皮膚の貼布部位に紅斑、浸潤、丘疹、小水疱などとして現れる。