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アレルギーってなに?

[要旨]要旨
1.アレルギー反応の分類
2.ラテックスアレルギーはⅠ型(即時型)アレルギー反応
3.ゴム手袋で発症するもう一つのアレルギー

1.アレルギー反応の分類

アレルギー反応は、本来はヒトにとって有益なはずの免疫反応が、無害な抗原を有害なもの(アレルゲン)と認識して、これを排除しようとして起こる過剰な免疫反応である。アレルギー反応は、血中抗体による液性免疫反応に基づくアレルギー(GellとCoombs分類のⅠ、Ⅱ、Ⅲ型アレルギー)と、感作リンパ球による細胞性免疫反応に基づくアレルギー(GellとCoombs分類のⅣ型アレルギー)に大別される(図2-1表2-11)

図2 - 1  アレルギー反応の分類(GellとCoombs)
図2 - 1  アレルギー反応の分類(GellとCoombs)

Ⅰ型アレルギー

Ⅰ型アレルギーは、「即時型アレルギー」、「アナフィラキシー型」とも呼ばれ、皮膚反応では15~30分で最大に達する発赤・膨疹を特徴とする即時型皮膚反応を示す。血中や組織中のマスト細胞および好塩基球上の高親和性IgE受容体(FcεRI)と結合したIgE抗体にアレルゲンが結合することにより、マスト細胞や好塩基球からヒスタミンをはじめとする種々の化学伝達物質が遊離してアレルギー反応が出現する。

Ⅱ型アレルギー

Ⅱ型アレルギーは、「細胞障害型(細胞融解型)」というべきもので、自己の細胞および組織、それに結合するハプテン(単独では免疫反応を誘導しない分子量数百以下の低分子)にIgGまたはIgM抗体が反応し、そこに補体が結合することにより細胞障害を起こす。

表2 - 1  アレルギー反応の分類(GellとCoombs)
表2 - 1  アレルギー反応の分類(GellとCoombs)

Ⅲ型アレルギー

Ⅲ型アレルギーは、「免疫複合体型」、「Ar thus型」とも呼ばれ、可溶性抗原とIgGまたはIgM抗体との結合物である免疫複合体によって生じる組織障害である。皮膚反応では皮内注射後3~8時間で最大となる紅斑・浮腫を特徴とする炎症反応を示す。

Ⅳ型アレルギー

Ⅳ型アレルギーは、「遅延型アレルギー」、「細胞性免疫」、「ツベルクリン型」とも呼ばれている。皮膚反応では抗原皮内注射後24~72時間で紅斑・硬結を特徴とする炎症反応を示し、反応が強い場合には潰瘍を形成することがある。本反応は感作T細胞と抗原の反応により、感作T細胞からサイトカインが放出され細胞障害を起こす。

Ⅴ型アレルギー

Ⅴ型アレルギーは細胞表面上のホルモンなどに対する受容体に、抗受容体抗体が結合することにより引き起こされる反応である。抗原抗体反応の面からはⅤ型とⅡ型とは基本的には同じような反応であり、Ⅱ型に含める場合が多く、Ⅱ型の亜型と考えられている。

2.ラテックスアレルギーはⅠ型(即時型)アレルギー反応

ラテックスアレルギーは、天然ゴム製品に含まれるゴムの木由来のラテックスタンパク質により感作され、ラテックス特異的IgE抗体が産生されて起こるⅠ型(即時型)アレルギー反応である。発症するためには、原因となるラテックスアレルゲンによる感作とアレルゲンとの再接触が必要である。この即時型反応は、原因物質である天然ゴム製品に接触するとその数秒後からはじまり数分で進行する。局所の皮膚・粘膜の痒み、発赤から蕁麻疹・粘膜浮腫となって全身性に広がり、呼吸器症状やアナフィラキシーショックを呈することがある。

3.ゴム手袋で発症するもう一つのアレルギー

近年、増加傾向にあるのがアレルギー性接触皮膚炎で、ゴム製品の製造過程で添加された化学物質への曝露により発症する。加硫促進剤が原因であることが多く、炎症は接触してから24~48時間後にはじまるⅣ型(遅延型)アレルギー反応で細胞性免疫が関与している。皮膚症状は天然ゴム製品に直接接触した部分からさらに広がったり、浸潤性の水疱などに発展することがある。

参考文献
1) 秋山一男. アレルギーとは. 臨床アレルギー学(第3版). pp90-5, 南江堂, 東京, 2007.